子育て・教育

2018.11.13更新

Dr. 明橋の子育てハッピーアドバイス

お母さんを中心とした育児書を執筆しようと思われたのはなぜですか?

日本には良質な育児書が昔からあり、私の患者さんに勧めることもありました。ところが、「読んでいて辛くなった。苦しくなった。」と聞くことが多かったのです。内容は正しく、子育てに何が必要か書いてある。でも、よく読み直してみると、お母さんに厳しく、こういう事をしないと、こういう子になってしまうよなどと書いてある。それを読んだお母さんは、「自分はできない」「ダメな親なんじゃないか」「子供がおかしくなるんじゃないか」と不安になる。読んだお母さんが楽になる、ホッとする、そういう育児書が必要だと思ったのです。

確かに!育児書を読んで、できない事ばかりが見えてきて、どんどん自分を追い込んでしまうという経験が私にもあります。

特に、子供が不登校、非行の場合は、自分を責めている親が多い。そんな時に「こういうことができてないと..」というようなことを読むと、自分の子育てが間違っていたのではないかと考えてしまう。子育てに何が必要かということを伝えるのは大切ですが、「お母さん、あなたは頑張っている。今のままで大丈夫。そんなに心配することはないですよ。」というメッセージをちゃんと伝えないと、お母さんのサポートにならないのではないかと気がついたのです。

応援されているような、前向きなメッセージですね。

実際、育児書を読むようなお母さんはしっかり子育てをしている。でも、できていないところにばかり目が行き不安になる。「できているよという、安心感と自信」を伝えることが何より必要だと思っています。

明橋先生が、お母さんたちをサポートしたいという思いはどこから湧いてくるのですか?

私は精神科医なので、子供だけでなく、青年期の、自殺願望があったり暴力を振るったりする人たちも診てきました。そういう人たちは、子供時代に色々なストレスを抱えている、家庭状況があまり良くなかった、ということが分かってきたのです。子供時代に予防が必要なのだと感じました。さらに遡ると、親御さんが誰にも相談できず、一人で辛い思いをして子育てをしていると、そのはけ口が子供に向かっているのだと気がついたのです。だから、子供をちゃんと育てなさいという前に、親御さんが苦しいのだから、それをサポートしないといけない。教科書的にあれこれ言ってもできないと思ったのです。最初は精神疾患の予防から始まったのですが、最後に行き着いたいのが ”子育て支援”、お母さんのサポートでした。

お母さん向けの本ということで、特に気をつけている点などありますか?

まず、専門書ではないので、わかりやすく、専門用語をできるだけ使わないようにしています。

それはママにとっては大切ですね!

できるだけ具体的な言葉を使う。例えば、「子供に安心感を与えましょう」ではなく、「大丈夫だよと伝えましょう」。また、「親御さんを肯定していきましょう」だったら、「親御さんに、それでいいんだよと語りかける」など、具体的な言葉で伝える、ということを大切にしています。

確かに明橋先生の本は、読んですぐに行動できますし、子供にもどのように声がけすれば良いかわかりやすいです。モヤモヤしていた自分の気持ちも整理できるように思います。

自分自身ががそういう言葉をかけてもらうと、子供にもそういう言葉をかけられますよね。「お母さんも十分頑張っているよね。」と言ってもらうと、子どもにも「あなたも頑張っているね。」と伝えられる。具体的な言葉で伝えるということが大切です。

子育てハッピーアドバイスは漫画も多いので読みやすいですし、何より明るい気持ちで楽しく読めます!

ありがとうございます。あと書くのは大事なことだけ、余計なことは書かないことも大切だと思っています。「子供がお昼寝をしている間に読めた!」「私にも育児書が一冊読めた!」という感想を多くいただきますが、「やったぞ、私!」と思えて自信につながるのだと思います。

確かに、一冊読み終えるということは達成感にもなりますね。

今まで何度も育児書にトライしては、最初の20ページで挫折したなどとよく聞きます。漫画仕立てだとスルッと読めて、最後まで読めたという達成感がありますよね。

いつでもパッと開いて、好きな箇所から気軽に読めるというのはありがたいです。

明橋先生から、お母さんたちに一番伝えたいことは何ですか?

富山でラジオのコメンテーターをしています。その番組の最後にいつもこう聞かれます。「では最後に、明橋先生から子育てが楽になるメッセージをお願いします。」私はこう言います。「あなたの子育て大丈夫ですよ。」要するに、色々失敗もあるし、至らないこともあるかもしれない。でも、ご飯を作って、洗濯もして、一生懸命子供を育てている。そう言う風に頑張っているお母さんの子育ては、決して間違っていないし、それで大丈夫だということなのです。世の中、不安を与えるようなメッセージが多い。インターネットを見ても、”親のダメな行動10”とかね(笑)そういう事がいちいち当てはまるわけです。少しでも閲覧数を増やすため、不安を煽るような記事も多い。そういう記事を一生懸命読んだり、調べたりする熱心なお母さんは、すでに頑張っている。私は、そういうお母さんたちに、不安ではなく”安心感”を届けたいと思っています。世界に住んでいる日本人のお母さんたちにも、まずこれを伝えたいですね。「あなたの子育て、大丈夫ですよ。」

次回からは、世界に住む日本人ママのお悩みに明橋先生にお答えいただきます。

よろしくお願いします!

少しでも心が軽くなるお手伝いができれば嬉しいです。

明橋先生からのメッセージ

明橋 大二先生 プロフィール

昭和34年、大阪府生まれ。 京都大学医学部卒業。 子育てカウンセラー・心療内科医。 国立京都病院内科、名古屋大学医学部付属病院精神科、愛知県立城山病院をへて、真生会富山病院心療内科部長。 児童相談所嘱託医、スクールカウンセラー、NPO法人子どもの権利支援センターぱれっと理事長。 専門は精神病理学、児童思春期精神医療。
子育てに不安や悩みを持つお母さんに向けて、イラストとマンガでやさしく解説した育児書『子育てハッピーアドバイス』シリーズは、累計490万部を突破。中国、韓国、台湾、タイでも翻訳されている。日本全国で講演会を開催。中国、アメリカなどでも講演会を開催し、日本、海外に住む子育てに悩むお母さん方から絶大な支持を受けている。